冒頭で私は「アメリカの音楽は明るい」と言った。
ケークウォーク然り、ラグタイム然り。
この明るさの源が何であるのか?
どんな状況にあっても、自分の求める救いはどこかに必ずある、という希望。
どんな境遇でも笑いで吹き飛ばそうとする強さ。
しかしその背景にある事実にしっかりと目を向けてみれば、明るさだけではない何かが見えてくる。
その何かが見えたときに、アメリカの音楽にあるただ者ならぬ強さに気付く。
そして、それこそがアメリカと言う国そのものではないか?
2009年アメリカに史上初のアフリカ系の大統領が誕生した。
リンカーン大統領による奴隷解放宣言から147年、ここまで到達するのにこれほどの年月が必要だったのだ。
アメリカ国民はオバマ大統領のもと、新しい歴史を作ろうとしている。
アメリカ国民が自らの変化のために、その第一歩を踏み出した。
もし2005年に亡くなったローザ・パークスがもう少し長生きしていたら、これをどう思うのだろうか?
ニューヨークの9/11テロ直後に録音されたCD、"Dear America,"から8年、私は再びアメリカへの想いを音の手紙に託したいと思っている。
"Dear America, 2"
もう一度、
親愛なるアメリカへ、
江口玲 2009年9月
本文中に多数の差別用語が出てくる。これらは決して差別的意図で使用しているものではなく、時代の継承をありのままに伝えるために使用したことをご了承いただきたい。そして最後に、貴重な楽譜、資料を提供してくださった、デューク大学 (Duke University) 図書館に多大なる謝意を表す。
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